ストレスで疲労感を感じている方へ
「ストレス」に対する認知と理解について
そのサイン、メカニズム、関連疾患を紹介します
「ストレス」とは
「ストレス」とは
悪い意味で用いられることが多いですが、本来の意味では外部からの「刺激(負荷)」とそれに対する「反応」のことを指します
適度な運動や緊張感は交感神経を目覚めさせ判断力や行動力を高める「良好なストレス」であるといえ、過剰な刺激は心身のバランスを崩し、様々な疾患の原因となる「悪いストレス」といえます
例
・適度な緊張(刺激)によりアドレナリンが分泌され、心拍と血圧が上昇する(反応)=身体的パフォーマンスが上昇する
・過剰な緊張(刺激)により交感神経が過度に優位になる(反応)=寝付けなかったり疲れが取れなかったりする
など
ストレスを与える原因を「ストレッサー」といい
気温・湿度・騒音・振動による「物理的ストレッサー」
栄養の有無・薬物の摂取による「化学的ストレッサー」
病原菌による病気や炎症が原因の「生物的ストレッサー」
人間関係や社会における不安や葛藤が原因の「精神的ストレッサー」
があります
自分が受けているストレスを見きわめ、そのストレッサーを減らしたり除去することで日々のストレスをコントロールし「過剰なストレス」になる前に原因を取り除くことが望ましいです
ストレスがかかっている時のサイン
精神面のサイン
- 不安や緊張が高まってイライラしたり怒りっぽくなる
- ちょっとしたことで驚いたり急に泣き出したりする
- 気分が落ち込んでやる気がなくなる
- 人づきあいが面倒になって避けるようになる
など
身体面のサイン
- 肩こりや頭痛、腹痛、腰痛などの痛みが出てくる
- 体調を崩しやすく熱っぽい
- 寝つきが悪くなったり、夜中や朝方に目が覚める
- 食欲が極端に減少したり、増加したりする
- 下痢したり、便秘しやすくなる
- めまいや耳鳴りがする
など
過労・ストレスによる心身不調のメカニズム
睡眠時間とストレスが過労に大きくかかわっており、長時間の労働が脳や内臓に負担を与えます
肉体や精神の日々の疲労は、食事や睡眠を十分にとる事で回復しますが過酷な労働が続き疲労が蓄積されると睡眠等では回復できなくなります
適度な休息や休日を取れず心身共に緊張が続く状態では自律神経の「活動」を司る交感神経が優位な状態が続きます
「静養」を司る副交感神経が優位になるタイミングが無いため、疲労が蓄積し回復できない状態になります
人体はストレス受けるとノルアドレナリンやコルチゾールなどのステロイドホルモンを分泌してストレスに対抗する措置をとります
心拍数が増え、心臓の収縮も促す働きもあるのでこの状態が継続すると脳や心臓に負担がかかってしまいます
バランスを崩した自律神経は免疫低下を引き起こし、病気にかかりやすく治りにくい体にしてしまいます
前兆として全身のだるさや疲労感、胸痛、冷汗、息切れ、手足のしびれ、頭痛などの症状があらわれる事が多いようです
ストレスに関連する疾患
自律神経失調症
自律神経が乱れることで起こる、頭痛、不眠、疲労感、倦怠感、不安感、意欲の低下などの症状の総称
不安障害・パニック障害
動悸、息苦しさ、めまいなどの発作を繰り返す障害
ひどい発作ではこのまま死んでしまうのではないかと思うほどの強い不安を感じる
また発作が起こったらどうしようという不安から外出が難しくなることもある
適応障害
状況・環境の変化などによって感情・行動に症状をきたす障害
不安感、憂うつ、動悸、めまい、ふるえなどの症状がある
うつ病
脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ心身の不調をきたす
気分の沈み、物事に興味や関心をなくす、睡眠障害や食欲低下、倦怠感などの症状によって
外出そのものができなくなることもある
アルコール依存症
アルコールなしでは気分転換ができず酒量がさらに増えていく依存症
大きなストレスを抱えている人や仕事を一人で抱え込んでしまう人が陥りやすい傾向がある
仕事中や出社前にもアルコールを飲んでしまうケースがあり、食事を含めた日常生活も疎かになる
摂食障害
食後に意図的に吐いたり痩せた体型を維持しようとする「拒食症」と短期間で大量の食事をしてしまう「過食症」に分けられ、どちらもストレスなどを原因とした心因性の障害
過敏性腸症候群
腸の働きに異常が生じ、便秘や下痢といった排便に関わる症状が出る
突発性難聴
左右どちらかの耳で難聴をきたことが多く、耳鳴りとめまいを伴うこともある
はっきりとした原因は分かっていないが心身のストレスが関連していると考えられる
最後に
前述の「4つのストレッサー」の通り
環境を改善したり習慣を見直すことで取り除くことができるストレスもあります
疲労感が抜けないかったり体調不良が続いている人は無理をせず、リラックスできる休養を取ってください
自律神経のバランスをとる行動としては
・軽い運動やストレッチをする
・ストレスを感じたら深呼吸をする
・笑顔を心がけるもしくは笑う
・好きな曲(リラックスできるもの)を聞く
・寝る前のPCやスマホの使用を控える
・朝起きたら日を浴びる
など
すぐに行動を変えることが難しい場合もありますので意識してみるだけでもいいと思います
食生活の面ではビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸などを必要量摂取するようにしましょう
ビタミンB1、B2、B6、B12はうつ病のリスクを下げると言われています
ストレスは自分でコントロールできるものと考えてストレスとうまく付き合っていただきたいです蓄積したストレスに気が付かず、ある日突然心身に異常をきたすこともあります
自分の状況を知るための情報収集と
心身に起こっている症状に対して適切な対処を日々行うことが好ましいです
心身のちょっとした変化で心療内科や精神科を受診することに抵抗のある方はかかりつけ医に相談いただければと思います